11. 天人五衰

 
さて、三島由紀夫の小説に『春の雪』から始まる『豊饒の海』という 4 部作がありますが、その中に天人五衰 (てんにんごすい) という章があるのをご存じの方も多いと思います。天人五衰とは、仏典に現れた老いの症状を述べたものですが、そこに現れた「五つの衰え」とは、冠の花飾りがしぼむ、羽衣が垢に汚れる、腋の下に汗をかく、目が見えなくなる、日々の生活が楽しくなくなるというものです。これらの症状は紛れもなく更年期障害の症状で、特に最後の「日々の生活が楽しくなくなる」というのは、今までに述べてきましたテストステロンの欠落によるものに間違いないと思うわけであります。