避妊法(ピル・IUD / IUS)

日本ではまだ80%のカップルがコンドームによる避妊を行っています(日本家族計画協会)。正しく使われていれば高い避妊効果を示すはずのコンドームも「途中から着ける」などの誤った使用法が多く、また「破れた、抜けた」というトラブルも起きます。また排卵日の計算などが不正確で、その結果失敗して妊娠・・・と言うことが後を絶ちません。基礎体温法やリズム法、それを利用したスマホのアプリや携帯サイトを使う方法などを多くの女性が使っていますが、失敗例が相次いでいるのでお薦めしません。なによりもコンドーム法は男性主導の避妊法であることに限界があります。当院では女性が主体的に行える、安全で簡単、確実な避妊法として、ピルや子宮内避妊具(IUS)をお薦めしています。避妊効果には大きな差があります。ピル・IUSともに1000人の女性が1年間使用した場合1人妊娠する(飲み忘れなどの失敗がある)程度ですが、コンドームとリズム法では1000人のうち200~300人は失敗して妊娠します。あなたはどちらの方法を選びますか。

日本ではクラミジアや梅毒などの性感染症が増えています。ピルやIUSは感染症を予防することは出来ませんので、コンドームの使用は別の理由から必要です。避妊と性感染症対策は全く別のことと考え、コンドームは性感染症の予防の目的だけに使うと割り切ってください。

 

ピル


ピルは安心して使えます
低用量ピルは避妊だけでなく月経調整、月経痛や月経過多の改善、月経前症候群(PMS)の症状改善などの目的でも幅広く使用されています。低用量ピルは、世界中で1億人の健康な女性に長年にわたって服用され、生活の質の向上が実感できるため多くの女性から支持されています。どんなお薬にも副作用はありますが、ピルの安全性については、他のどの薬剤よりも多くの検討がなされています。日本でピルが発売されてから15年以上たちますが、「副作用が心配なのでピルを使いたくない」,「ピルを飲むと不妊症になる」などという女性がまだまだ多いのは残念なことです.

副作用の発生はほとんど気にならない程度です
一方で頻度は低いものの静脈血栓症などの有害事象(副作用)があるのも事実です。しかし重大な血栓症の頻度は妊娠や出産によるものほうが5倍も高いということは知られていません。ピルの死亡リスクも妊娠合併症の死亡リスクの240分の1程度です(日本・米国産婦人科学会見解)。副作用(血栓症)がこわいから出産はやめとこうという人はないですよね。ピルも同じことです。また、一般人の静脈血栓症の発症頻度の高いカナダにおいても、ピル使用中の死亡率は10万人あたり1人以下です(カナダ産婦人科学会見解)。妊娠出産や交通事故、喫煙などの死亡率と比べてもピルのリスクは十分低いと思われ、安全性は高いことが分かります。大事なことは血栓症などを必要以上に心配するのではなく、万一発生したらなるべく早く発見し治療を行えば、重大な結果を避けることが出来るという点です。


もし副作用があってもすぐ発見できます
ピルの飲み始めによく見られる不愉快な症状は、吐き気・だるさ・頭痛・不正出血・むくみ、胸の張りなどです。ほとんどが軽い症状ですむことが多く、1~3 ヶ月飲み続けるうちに気にならなくなります。重大な副作用として血栓症(血管がつまること)があります。しかし喫煙、高年齢、肥満などのリスクがない方であれば重い血栓症が起きる心配はまずありません。このような症状のない方は安心してお薬を続けてください。当院ではピルの服用に先立って血栓症予防の血液検査(3000 円)を行い、時間をかけて説明をおこないます。しかし残念ながら、ピルの服用前に血栓が作られやすい人かどうかの検査をしても、血栓症を完全に予測することは出来ません。大切なのは、膝から下のふくらはぎ(うしろ側の筋肉)の痛みがあるなど、血栓症が疑われる場合はすぐDダイマー検査などの専門の血液検査を行い、万一血栓症が発生しても早期に発見し治療することができるかどうかです。当院では松江赤十字病院などと連携して安全を確保していますので、まず当院にご連絡下さい。休日、時間外、夜間などには医院のホームページから連絡できます。

薬があわなくとも心配いりません
服用開始後の不愉快な症状はしばらくお薬を続けているとほとんどなくなりますが、中には症状が強く続けることが困難な場合もあります。これはピルの中に含まれる黄体ホルモンと卵胞ホルモンという2種類のホルモンのうちの黄体ホルモンによるものです。第1世代から3世代までのピルには、それぞれ異なった種類の黄体ホルモンが使われています。ピルを変えると症状がなおるのはそのためです。ピルにも相性があるということですね。当院ではその人にあったピルを選べるように多くの低用量ピルを用意しています。また、ネット上ではピルの種類によって血栓の出来やすさに差があるという記述が見られますが、どのピルでも血栓症が(非常に低い確率ですが)起こりうると考えておくことが大切だと思います。繰り返しになりますが、先に述べたような症状が無ければ血栓症はありませんので安心してお薬を続けてください。

3種類のピルをそろえています
当院では、トリキュラー (アンジュ、ラベルフィーユは後発品)、マーベロン(ファボアールは同等品)、シンフェーズ (オーソ,ルナベルはほぼ同等品)と国内で発売されているほとんどすべての種類の低用量ピル (OC) をそろえています。日本では、ピルは病気の治療に使うお薬ではないため健康保険は使えません。通販 (個人輸入) のピルや緊急避妊薬を使っている人もありますが、これには医師の指導・管理がありませんし相談にものってもらえません。万が一副作用や深刻な事故が起こっても輸入業者は一切責任をとりません。体調に異変を感じたらすぐに病院で診てもらいましょうなどと小さく書いてあるだけです。またいくら外見が正規品とそっくりでも品質の保証は全くありませんし、発送地も信用できません。国内で販売されるお薬に適用される副作用救済制度もありません。自己責任とはつまりそういうことです。長期的に服用するお薬なので、出来る限り安い方がいいという考えも分かりますが、口コミだけを信じて使用するのはリスクが高いとも思います。同じ理由でネット上に氾濫するピルに関するさまざまな情報にも医学的根拠のない不正確なもの、個人的な経験や思い込み、なかには業者のヤラセによる書き込みなど適当でないものもあるのが実情です。当院では出来るだけ客観的で正確な情報を分かりやすく提供するよう心がけています。 


診察や検査はありません
当院では服用開始のときや継続して服用中も、婦人科の診察(内診)やいろいろな検査(がん検診や性感染症などの分泌物検査、超音波エコー検査、肝機能などの血液検査)は必要がない限り行いません。窓口でお金を払ってお薬を貰うだけですのでとても簡単です。高校生以上であれば問題なく服用できます。数か月分をまとめて処方してもらうことも出来ます。1 か月分 (1 シート) が 2,000 円 (消費税込) です。学生の方には学割がありますので学生証を提示してご相談下さい。

IUD / IUS

出産経験があり長期間 (2 ~ 3 年以上) の避妊を目的とする場合にお薦めです。子宮内避妊具は、子宮内に小さな器具を挿入して妊娠を防ぐものです。昔はリングと呼ばれていたこともありますが、現在使われているものは全く異なった形をしています。ピルと同じくらい確実な避妊効果を得られ、しかもピルのように毎日忘れずに飲むといった煩雑さがありません。また、費用も長期の使用を考えるとピルよりはずっとお得です。

使用法も全く自然で 5 年間は交換なしで使えます。コンドームをいっしょに使う必要は全くありません。挿入も簡単に済みますしその後の診察 (チェック) は一年に一回程度あるだけです。子宮の中に異物を入れても大丈夫 ? という女性もいますが、慣れれば違和感は全くありませんし、男性にも装着していることは分かりません。「子供がほしくなった」という場合は抜去すればすぐ妊娠が出来ます。

当院では血栓症の副作用がほとんど無い最新型のホルモン添加 IUS であるミレーナを導入しています。ミレーナは低用量経口避妊薬 ピルに匹敵する高い避妊効果と、従来の銅付加型 IUDよりさらに高い避妊効果という 2 つの特徴を併せ持っています。また生理の量が少なくなり生理痛が軽くなります。これは多くの医療機関でまだ使われている銅付加型よりすぐれている点です。また「安いから」という理由で効果の低い古いタイプのIUD(魚の骨型のものなど)を勧められることもあるので、入れる前に確認しておくと良いでしょう。

費用は38000 円 (挿入費含む) です。そのほかに初(再)診料や検査料など約2000円程度が必要です。