がん検診

子宮頸がん

子宮頸がんはかつて中高年の女性の疾患とされていましたが、現在では 20 代の女性に見つかることも珍しくなくなってきました。これは子宮頚がんが性交渉で感染するヒト・パピローマ・ウイルス (HPV) と密接な関係があるためです。現在では 20 歳以上の女性には細胞診という方法でがん検診を行うことがすすめられています。

また最近ではパピローマ・ウイルスの存在そのものを検査することが出来るようになりました。将来がんになる危険がどの程度あるのかといった予測が一段と確実に可能になりましたので、当院でも積極的におすすめしています。また、当院では子宮頸がんと同時に子宮体がんや卵巣がんの超音波エコー検査も行っています。松江市民には「がん検診の受診券」 のお知らせの葉書が毎年6月以降に届きますので、診察の時には必ずご持参ください (松江市の補助があります)。紛失した方は市役所ですぐに再発行してもらえます。また、20 歳から 5 年刻みに無料クーポン券が発行されていますので葉書をご確認下さい。当院では、院長が臨床細胞学会認定の専門医 (細胞診指導医) として、検査を行っています。乳がん検診 (超音波エコー検査と触診指導) も子宮がん検診と同時にいつでも受けられます。

松江市民の方は子宮頚がん検診 (頸部細胞診)は、40歳以下は無料(HPV 検査は 800 円必要)で受けられます。受診券のはがきを持参してください。紛失された方はすぐ再発行してもらえます。

2011年(平成 23 年) 2 月 1 日から、中学生を対象に公費負担による頚がん予防ワクチン(HPVワクチン)の無料接種が始まりましたが、副反応を疑われる現象が認められたとして、接種の積極的な勧奨(通知)が一時中止されていました。しかし、日本産婦人科学会などの専門的な団体は接種再開を強く要望してきました。その結果、世界的にも安全性と有効性が確認されたとしたうえで、2022年(令和4年)4月から積極的勧奨が再開されることになりました。わが国ではワクチン接種に反対している人たちがいますが、世界はすでに 男女とも接種 が主流になっており、日本産婦人科学会も男女両方への接種を要望しています。ワクチン接種によって男女を区別せずに子宮頸がんやコンジローマを含めたHPVウイルス疾患を90%以上予防できます(WHO)。平成5年4月1日より、新しい9価ワクチンが公費助成を受けられる定期接種で使用できるようになりました。それまで4価ワクチンなどを打っている場合でも、4月から残りの接種を新しいワクチンに変更する(交互接種)ことは可能です。

乳がん

乳がん検診を行っています。子宮がん検診と同時に受けられます。

30 ~ 60 歳代の女性がかかるがんで一番多いのは乳がんです。生涯のうち乳がんになる女性の割合は 50年前には50 人に 1 人でしたが、現在では14人に1人といわれており、年間60万人以上が乳がんと診断されています。これは、クラス会をすれば必ず 1 人か 2 人は乳がんの友人がいることを意味します。しかし、日本の乳がん検診受診率24%は欧米の60~70%はもとよりお隣の韓国の61%と比べても極端に低いのが実状です。また、乳がんは子宮頸がんと違って遺伝的要素が強いので、祖母、母親、姉妹など身内に乳がん(または卵巣がん)の患者さんがいる方は要注意 (ハイリスク) です。

現在の国の乳がん検診ガイドラインでは、40歳から2年に一回のマンモグラフィー( X線 )検査の実施を勧奨しています。そのほかの乳がん検診の検査法としては最近広く行われるようになった超音波エコー検査があります。特に超音波エコー検査は、乳腺の密度が高い若い世代の女性の異常を発見することができる点で、マンモグラフィーより優れているといわれます。超音波エコー検査は、痛みは全くなく10 分程度で終わります。X 線を使わないので繰り返し何回でも検査ができる身体にやさしい検査です。子宮がん検診と同時にいつでも受けられますが、乳がん検診は電話での予約が必要です。

当院では「自分で乳房を触る自己触診」の方法も指導していますが、早期発見のためには数年ごとのマンモグラフィーと組み合わせた毎年 1 回の超音波エコー検査が理想的なので、ぜひ超音波エコー検査を受けられることをおすすめします。当院では平成 22 年 8 月から最新の「エラストグラフィー機能」を搭載した乳房専用の超音波エコー装置を導入して、より精密な検診を行っています。